記事のアーカイブ

2015年04月08日 00:25
 眠っているうちに買い物を済ませ、食事の用意をしていると、匂いにつられてのそりと寝室から起き出して来る。幾分顔色も戻ってきてることにやはり驚きを隠せない。  初めてこの部屋で目を覚ました時のように、情事の名残りを洗い流してくるように言うと、多少フラつきながらもあまり危なげない足取りで素直にバスルームへ向かった。本当に回復が早い。  戻ってきた男は、用意していたスウェットに身を包んでいた。その他にも一通りの衣服は用意した。三日三晩密着していたのだ、大体のサイズは分かる。背格好は然程変わらないが、悔しいことに随分と胸板の厚さが違った。  造血、鉄分吸収促進の食材を使った食事を摂らせながら、そんなこ
2015年04月08日 00:23
 永く生き続ける一族がいた。  一族と言ってもその数は微々たるもので、彼らは生活を共にすることはない。それぞれが孤独に生きてきたので、互いの存在をもう長いこと確認したことはない。元々が群れて行動する種族ではないのだ。縄張りが重なれば諍いが起きる。  或る者はひっそりと故郷の森に身を隠し、或る者は人間に溶け込みささやかに生き、或る者はその魔力を最大限に活かして人間の振りをして成功を収めて富を得た。  どの生き方にも、付いて回る業がある。血を啜りながら、人間の精を糧として命を繋ぐこと。  彼らにとってコレは食事であるが、恍惚を齎しそこから快感を得てしまう為に、陶酔しきる者も多い。遥か物語の時代には
2015年04月08日 00:21
 饐えた匂いのするゴミ溜めから、極上の芳香が流れてきた。  黒猫は足音を殺して近付く。  打ち捨てられ四肢を投げ出した体は、力を失くしピクリとも動かない。ひらりとその胸元に飛び乗ると、そこはほんの僅かに上下を繰り返していた。芳しい香りの元に鼻先を寄せると、すん、と一息吸い込む。  とろりと甘い、躍動する生命の匂い。  黒猫は切り裂かれた男の左眼に舌を這わせ、嬉しそうに、にゃあ、と鳴いた。 *****  ゆっくり瞼を上げるが、どうにも覚束無い。  視界と、皮膚感覚に違和感。  薄暗い、引き攣れ、頭痛、沈んで行く。  頭が重い、体が重い、手足の先に痺れ。  回る、ぐるぐると。
2015年04月08日 00:18
微R あまりガツガツしてない攻め人間ゾロ×受け吸血鬼サンジのお話。 R表記してますが、直接表現ないです。
2015年04月07日 17:30
テーマはチャージ(充電・溢れそうなほど一杯にする)とハグ!    ふー、と甲板で一服。  視線に気付いて振り返ると、日陰に座り込んだローがこちらを見ている。目が合うと、表情も変えずに「黒足屋」と一言で呼びつけられる。  サンジは最後に一度強く吸ってから、携帯灰皿にタバコを捩じ込んだ。  近くまで行くと抱えていた大きな刀を脇に置き、胡座をかいた膝の上を無言で勧められる。サンジはキョロキョロと視線を配り、誰もいないことを確認して背を預けるようにちょこんと座り込んだ。  ローは両腕を前に回し、ぎゅうっとサンジを抱きしめる。もふっとした帽子がサンジの金の髪をくしゃくしゃと擦り上げた
2015年04月07日 17:28
猫の日。             二人になると特に。 わがままで、色々押し付けてくる。 自分勝手で、こっちの言うことなんか聞きやしない。 他に気をとられると、わかりやすい嫉妬をする。 きまぐれで、ふいっといなくなる。 警戒心が強くて、気を許さないと本当の自分を見せない。 甘えたがりで、ベタベタ懐いてくる。 時々噛み付く。 その赤い舌で、ぺろりと舐めてくる。 本当にこいつはネコみたいだ。 きれいな毛並みの〈白猫/黒猫〉だ。 「ん? なんか言ったか?」 「いや。そっちこそ」  end  
2015年04月07日 17:15
和食党のバレンタイン。ローサンバージョン。            所謂、マウントポジションというやつだ。  サンジがローの上に股がり、何やら迫っている。 「だーかーらー、試しに一個食ってみろって!」 「甘ったるいモンはいらんと言っている!」 「だからせっかくお前用に作ったんだから」 「チョコは食わん」 「チョコじゃないって」  一度動きが止まり、サンジが摘んだ黒っぽいような茶色っぽいような物体を見つめる。 「バレンタインとかいうやつはチョコを食わせるんだろう?」 「まあな。でもチョコじゃないって」 「チョコじゃないなら、尚更食べる必要
2015年04月07日 17:11
 オレの傍には死神がいる。  そいつはオレのイノチの力が弱くなってくると、どこからともなく現れる。  初めて見たのは、クソジジィと一緒に遭難した時だ。食料もなく、水だけでイノチを繋いでいたあの時。  絶望の中で目の前が暗くなりかけた視界に、音もなく人影が現れた。助けが来たのかと一瞬喜んだオレは、すぐに違うことに気付いた。  光を背負うように立つ人影には、大きく広げた翼があった。  ああ、やっぱりオレは死ぬんだ、と覚悟を決めた。  天使が迎えにきたのだ、と。  そいつはオレに手を伸ばしかけ、不意にやめた。チッと小さく舌打ちをし、また音もなく姿を消した。  天使が消えてしまったことに呆然とし
2015年04月07日 16:19
びっくりですが警官ゾロ×サンジーンという異色な組み合わせ。 フォロワ様数人と同じお題でそれぞれかいてみたものです。 「ジーン様がターゲットを殺し損ねたことで逆に命を狙われて日本に逃げてきて、そこで警察官のゾロと出会って警察を利用してやろうと企むもゾロを好きになってしまう話」 利用してやろう感もジーン様じゃない感も満載ですが。 ついったでは「ゾロジンかいてみよう」のタグで探せると思うので、興味ある方は是非! それぞれのソロジンがほんと素敵です!!!            オレは今、なんでこんなことになっているんだ?  背丈は然程変わらないの
2015年04月07日 16:18
女神様の描かれた首輪につながれたゾサにクッソ萌えましてですね。 おねだりして元絵をpixiv版の表紙に頂いてしまいました。 久しぶりにえろ頑張ったら頭パーンしたよ!              ガシャン、ジャリンと硬質な音がコンクリートの壁に反射し、それを縫うように短い息継ぎが耳をつく。  マズいな、とゾロは重い頭を必死で持ち上げ、後方へ僅かに捻った。その動作だけでも酷く億劫で、力の入らない全身を忌々しく思う。  視界の隅に、呻きを上げながら金を乱して頭を振る姿を掠めた。 「ウゥ…ぐ、ぁあ!」  大きな唸りと共に、一層強い金属
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