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2015年04月09日 13:37
「なぁ、今日も寝て過ごすつもりかよ」
「せっかくの休みだろうが」
「せっかくの休みだからじゃねぇか」
「眠てぇ」
「…ヤり疲れて寝潰すとか毎度不毛すぎるだろ」
「…弁当」
「ん?」
「弁当あんなら、出掛けてもいい」
「え、どこに」
「どこでもお前の好きなとこ。おれはお前の飯食えりゃいい」
「…おう」
「ぞーろ!」
夏になると街からやってくる金髪の、女みたいな顔した奴。
同い年だからかどうにも懐かれたようで毎日呼びに来る。
夏の日差しに白い肌は既に赤くなりかけている。
その頭に麦わら帽子を無理矢理載せた。
「飲み
2015年04月09日 13:36
指と指を一本ずつ絡ませ、しっかりと握り合う。
どれだけ傷付き血を流しても、再び会えたその時には固く手を合わせる事を始めたのはいつからだったか。
突然の戦闘、戻ってこられるか保証はない。
だから生きて帰ってきた時には必ず、手を合わせた。
次も生きていますようにと、互いを想うおまじない。
2015年04月09日 13:34
街灯の下、オレンジ色のぼんやりとした灯の中音もなくゆっくりと舞い降りてくる白たち。
目を瞑ると頬に当たって溶けていく雪の感触だけ。
音のなかった世界にぎゅ、ぎゅ、と踏み締める冬独特の音。
傍まで来たら緑頭に積もっていた雪を素手で払った。
雪のついた冷たい手を握る。
それは寒い夜だった。
2015年04月09日 13:07
目が合うと心臓が跳ねる。
声を聞くと背筋が疼く。
触れると熱くなる。
どんなに平静を装っても隠しきれない想い。
だって仕方ない。
どうしたって惹かれてしまうのだから。
オレはお前に。
お前はオレに。
こんなに夢中になるなんて思ってもみなかった。
中毒じみた恋はなんだか怖いな。
でも、それもいいか。
2015年04月09日 11:53
女神様の素敵イラストによせて。
微睡みの中降りかかる重みに薄く笑った。
それが面白くないと尖った口先が文句を並べる。
どうやら全身を預けているのに余裕さえ浮かべているのが気に食わないようだ。
こちらとしては重くもなんとも無いのだからひどい言いがかりだ。
とりあえず、きゃんきゃん煩いその唇を塞いで甘やかしてやろう。
2015年04月09日 11:52
斜面のブロックから電信柱に手を伸ばす。
ようやっと届くようになった突起を握り、身を寄せ足をかける。
そこからはもうするすると自在にどこまでも上へ。
馬鹿と何とかは高いところが好きと言うが。
あいつはバカだけど、竹刀を持ってどこまでも高いところへ行くんだろう。オレを置いて。
2015年04月09日 11:46
140字お題の方にも掲載してますが、この後に続く「幼馴染み」リンクしてますのでこちらにも。
市営団地の隣同士に住む幼馴染。
アパートの4階から見えるのは鮮やかな緑の山々。
眼下には山と同じ色の頭をして両手を広げて待つ…アホ面。
今日の挑戦は生卵キャッチ。
昨日の水風船でアイツはずぶ濡れになったのに、懲りない奴。
オレは白い殻に細い油性ペンで小さく一言を書く。うまく受け止めろよ。
2015年04月09日 11:44
こうしてくにくにくに、とすると
わ!すごい!テレビの餃子と一緒!
やってみ?
うん!…みーてー!ぞろー!
餡を詰め込みすぎてはち切れそうな餃子を小さな耳に宛てて。
おっきくなっちゃった!
サンジと一緒になって笑う小さな存在。あぁ、おれ幸せだぁ。
2015年04月09日 11:34
ちょっと忙しくなって構えなくなると途端に機嫌を損ねる。
ブスくれた表情を隠しもせず眉間に皺を寄せて酒のピッチが速くなる。
いつからこんな子供みたいな態度をとるようになった?
拗ねてるお前も何だか可愛いなんて、後が怖いから口に出せないな。
でももう少しだけ、可愛いお前を眺めさせてくれよ。
2015年04月09日 11:33
少しだけ色の違う姿。
いつも目で追ってしまうのを、この太いフレームでうまく隠せているだろうか。
どうしてか目が離せなくなるんだ。
凛とした強さに彩られたお前を無意識に探してしまう。
いつからか目が合うようになった。
自惚れていいか?
お前がオレを見ていると。
レンズ越しの逢瀬が、間も無く終る。
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