6.飼育生活

2015年04月10日 09:41
以前ゾサで「ナチュラルに飼われる、首輪プレイ」と妄想して、でもなんかローサンぽいなと思ったので。

 
 


 猫のものみたいに細い革。金の髪に黒が映えるからと、乏しい表情の中に少しだけ嬉しそうな色が見えた。
 小さな鈴と、形ばかりの短い鎖。
 肌を傷つけないようにやんわりと、死を刻んだ指先がベルトを締めていく。指二本分の隙間を確認してから、ようやく馴染んできた革の柔らかさを確かめる。
 サンジは軽く顎を上げて、その作業が終わるのを待った。

「痛みはないか。傷はなかったが」
「あぁ、大丈夫。これ、すごく軽いし」

 少し動けばチリリ、と丸鈴が鳴る。鎖を取られ、わずか引き寄せられるだけで胸が高鳴り、体は熱を帯びる。
 細い首輪がサンジを、身も心も拘束する。
 外に出るときは鈴を外して首元を隠す服装を。首輪を外すのは風呂の時だけ。外すのも、つけるのも、それをするのはローだけだ。
 縛り付けて傍に置いておきたい欲望と、それを受け入れ慣らされ、首輪なしではいられなくなった焦燥と。
 僅か外している時間も、不安で、息苦しくて、早く、早くと懇願するのに、ローはそれを、やっぱり少し嬉しそうに見ている。
 ゆっくりとサンジの体を洗い、髪を流し、抱きしめて湯に浸かる。白い肌が上気するのは湯温のせいだけでなく、与えた枷がサンジを苛むのだと知っていながら、唯一首輪を外している時間を存分に楽しむ。

「早く、つけて……」

 蕩ける青で懇願されると、可哀想になって早々に風呂を出てしまう。そうして首輪をつけてやるとサンジは安堵し、どうしようもなくローを求めてくる。

「お前は可哀想だな。俺が縛り付けてやらなきゃ、生きていけねぇ」

 火照る体を拓きながら、ローは悦ぶ恋人を抱きしめた。
 サンジは熱に浮かされながら、自分を組み敷く恋人を見つめる。
 小さな鈴が、チリリと鳴る。
 この首輪で繋いでいるのは、ローの首だ。体と、首輪と、愛と、彼を上回る執着で、ローを縛り付けているのは、サンジだ。
 
 
 
end