4.いい妊娠の日

2015年04月09日 10:23
11月後半、いい◯◯の日というのが立て続けにありまして。
11/24はいい妊娠の日。
相変わらずうちの外科医さん頭おかしい。
 
 
 
 
 
「な、なぁ……やっぱ、おかしいって……」

 自分の体を抱き締め震えるサンジに、ローは優しく笑いかけた。
 異変に気付いてから数日も経っていない。
 刺青の入った手が、指先が、サンジの下腹に愛おしげに触れる。

「大丈夫」

 少し膨らんだ白い肌、明日にはきっと、もっと大きくなっている。

「安心しろ、絶対に元気な子が生まれてくる」

 ローはサンジの眼を覗き込んだ。
 熱いのに、冷たい、瞳。
 サンジを見ているようで、それよりも遠くを見ているようでもある。

「俺たちの子だ」

 サンジが息を飲む。
 どうしてこんなことになっているのか、分からないし考える余裕も、もうない。

「大丈夫だ、ちゃんと、」

 ローはとても嬉しそうだ。

「悪魔に魂売ったから」

 腹の中で何かが、微かに動いた、気がした。
 
 
 
end