3.kiss kiss bang bang

2015年04月09日 11:07
ふぉろわ様の素敵なキスイラスト2枚を辛抱堪らず書かせていただきました!
めっちゃ可愛いのよ…
タイトルはいきものがかりから。





 ルフィはどうやらキスが好きらしい。いや、俺も好きだけど。
 何を思ったかメシの支度中にいきなりやって来て咥えていた煙草を奪い、顔を傾けてむちゅっとやられた。おたまを持ったままのオレは固まるしかない。鼻も塞がれたから息もできない。
 唇を合わせたまま数十秒。こいつは何がしたいんだ、と思っていると、目の前の体がブルブル震えだした。
 …5、4、3、2、1

「ぷはー! はー、はー……サンジぃー、おま、え…息続かねェよ」

 盛大に深呼吸を繰り返しながら、訳の分からない責められ方をされた。

「オレの肺活量なめんなよ、クソゴム」

 だーれがテメェを海の底から引き上げてくると思ってんだ。しかも料理中断させやがって。味が変わったらテメェのせいだからな。って、言ったところで「責任とって全部食う」とか言い出しかねないからやめとく。



 ある時は鼻の側面がくっついている程の至近距離でじーっと見つめられた。唇なんて、もうほぼ触れているくらいの。
 そんなに近くちゃ何も見えないだろうと思うのに。ただただ長い時間そのまま目を合わせて、いい加減キレようかどうしようかと思案したところで、食われた。
 それまで無遠慮に、ねめつけているのかと思うほどのギラついた目を、唇を合わせる瞬間にバカみたいに閉じるのが癖だ。そうすると急に頼りない年下の顔になって、眦に差した赤味が余裕のなさを表すようにぐっと濃くなる。
 だけど、こうして啄むようにちゅっちゅ繰り返すだけで満足してしまう思考回路が、オレにはどうにも理解できない。腹を満たしたかのような幸せそうな顔で眠ってしまうルフィに、持て余した熱のやり場を求めて恨めしい目を向ける。こんな自分勝手な野郎に振り回されて、それを甘んじて受けている自分自身に驚きだ。
 仕方なしに動かせる体を駆使して煙草に火を点ける。一服したらある程度熱も治まる。そんな余韻の処理に慣れてしまったのもまた悲しいが、この始末はいずれつけさせてやると胸の内で舌を打って、オレも眠ることにした。
 まさか早朝に腹を減らしたこの男に、骨までしゃぶり尽くされるとは思わずに。
 
 
 
end