2.【狙撃手】船上の理髪師(約2800字)

2015年04月16日 08:09
ウソップ誕生日2014
 
この二人は素で本音をぽろっと言い合うイチャコラ親友な感じ。本気の仲良し。
ちょっとサンナミ要素入っている感じですが。
 
 
 
 
 
 
 海は凪、快晴。
 こんな日は。
 
 サロン・ド・ウソップ
 若しくは
 バーバー・ウソップ
 
「開店だあ! 野郎共!」
 ウソップ工房支部横にて。
 
 
 
 お、トップバッターはロビンか。珍しいな。
「丁度花壇の世話が終わったから」
 それにしても髪、伸びたなー。毛先揃える程度でいいのか?
「ええ、お願いするわ」
 
 
 
 珍しいな、ルフィ、自分から来るなんて。
「ナミに行けって怒られた。俺、釣りしてたのによぉー」
 まぁ、確かにその前髪は俺も気になってたんだ。
 すっかり目にかかってんじゃねぇか。
 ついでに襟足もやっとくぞ。動くなよ。
「おぉ、頼んだ! ししし」
 
 
 
 呼びかけておいて何だが、必要のない者もいるわけで。
 
 
 
 ブルック、お前完成形じゃねぇか。ハサミいれたら減るだけだろ。
「そ、そ、それは困ります!  アフロだけは! アフロだけはー!」
 何しに来たんだよ。
 
 
 
 フランキー、お前も自在じゃねぇかよ。
「アァウ! 実はおさげにすると毛先が痛んでるのを見つけてな。毛先だけ頼むぜ!」
 女子か!
 
 
 
 チョッパー、お前生え変わるんじゃなかったか?
「急に暑くなったり寒くなったりで、なんか季節感なくて上手く生え変わんねぇんだよ。今暑いからさ、少し刈ってくれねぇか?」
 そうか大変だな、お前も。バリカンでいけるかな?
 
 
 
 ゾーロー!次やってやるから来いよー。
「……おれはいい」
 いやいや、それ以上伸びたらヤンキーみたいなオールバックになっちまうぞ?
 それともセンター分けでもするか?
 ああ、やっぱり芝刈り機持ってくるか?
「……うっせぇなぁ、ったく」
 
 
 
 お、ナミか。お前も後ろの毛先だけでいいんだよな?
 前髪は自分でやるんだろ?
「うーん、でもあんたにやってもらう方が仕上がりがいいのよねー、悔しいけど」
 そりゃあ俺様のアーティスティックな技術を持ってすればな。
 だがお前の顔に近づいたとわかったら、うるせーのがいるからよぉ。
 あいつにやってもらえばいいじゃねーか。あいつも上手いだろ、切るの。
「い、い、いいから! 後でなんて面倒だから、やっちゃってよ!」
 ……へいへい、わかりましたよ。
(こんな真っ赤になってるナミに近づいてるとこ見られたら、それこそ面倒くせぇことになんじゃねぇかよ)
 
 
 
「ありがと、ウソップ! あと誰?」
 あー、あとはサンジだけだなー。
「あ、あ、そう。じ、じゃあ、呼んでくるね!」
 あっ……。
(また顔赤くしやがって! そんなんであいつんとこ行ったりしたら……)
 
 
「くぉら! こんの長っぱな! てめぇナミさんに何しやがった!」
 ほーらー、面倒くせぇモード……。
「あぁ?」
(ここは本当のことを言ってやるべきか、否か。うん、なんか面倒くせぇ)
 お前の話してただけだよ。
 ほら、お前のが一番時間かかるんだから、さっさと座れよ。
「え? なに? オレの話でなんでナミさん赤くなってんの?」
 あーもー、本人に聞けよ。ほら、始めるぞ。
(強気で言うと大人しくなる時あるんだよなー。そういうとこ、変わってなくてちょっとかわいい)
 
 
 
 お前、髪質ちょっと変わったか?
「そうか?」
 ちょっと芯がでてきたような。
 前はもっと柔らかくて、すっげーサラサラしてたぜ。
 まさにMr.プリンス! って感じでよ。
「オレはいつも全レディのプリンスだぜ!」
 あー、はいはい。
 さて、どういたしましょうか。
 この前髪、気ィ遣うんだよな。ちょっとムズカしい。
 目ェ、どっちも出しゃいいじゃねぇか。
「お前ね、こっちがどうなってるか知ってるじゃねぇか。オレはこれをコンプレックスだとは思っちゃいないが、いや寧ろチャームポイントだが、いじめっ子マリモみたいのがイジってくるだろう? 両方出した日にゃあ何言われるか。それにちょっと、な」
 ん? なんだ?
「ガキの頃ジジィに髪切ってもらって、大失敗したことがあって」
 ほうほう。
「体裁整えるために前髪バッサリ落としたことがあるんだよ」
 ふむふむ。
「そうすっとな、オレを見た人が何と言うか、傾くんだよ。巻いてる方に」
 ぶふーー!
 
 
 
 あー、サンジ君。
 キミの足が長いのはわかったから、椅子に座ったままでも振り回すのはやめて下さい。
 当たったら死にます、キミの足。
「てめぇが失礼な笑い方すっからだろうが! しかもちゃっかり避けやがって。オレ様の蹴りを躱すとはいい度胸じゃねぇか」
 え、なに、避けても制裁加えられちゃうの?りーふーじーんー。
「あーもー、適当でいいよ。全体的に軽く梳く程度で」
 いや、その適当ってのが結構難しいんだって。
 しかもそんなこと言ってお前、仕上がりにうるさいじゃないか。
「そうか? お前の腕は結構信用してるんだけどな?」
 そ、そうか?
 ま、まあ、仕上がり云々はともかくとして、単純に緊張するんだよな。
「なにが?」
 お前の髪にハサミいれるの。
「なんで?」
 いや、キレイだから。
「は?」
 キラキラして、サラサラで、スッゲーキレイだからさ、なんか緊張するし勿体ない気がしちゃうんだよ。
 俺、お前の髪好きだわー。ちょっとだけ憧れる。
「い、いや、おま、なに言ってんの?」
 羨ましいけどさ、俺のカオでこの髪はどうかっちゅーのは自覚してるし。
「金髪ウソップ……ぶっ」
 ほらな? 噴くだろ?
 それにさ、自分じゃあんま見えねぇだろ。
「見え……うーん、そうかねぇ?」
 お前のカオで、そのあおい目で、まあ、お前だからキレイなんだよ、きっと。
 近くにいるから、いつも見てられるし。
「……お前ね、本当に何言ってんの? よくもそんなクソ恥ずいことを……」
 俺の髪、真っ黒でぐねぐねだからさ、単純に憧れるんだって。
「ふーん。でもお前、昔より気ぃ遣ってるだろ? 髪伸ばしてから。マメに風呂入るようになったし」
 ああ、まあ、な。
「ちゃんと清潔にしてるし、そのせいかふわふわしてるし」
 そ、そうか?
「お前の髪も男らしくて、オレもちょっと憧れるぜ。パッと見強そうに見える」
 パッと見かよ。
「オレは見た目のせいで舐められること多いからな。昔より筋肉もついたが、どうしても着痩せしちまうし」
 なんだかなぁ、俺ら。無い物ねだり?
「そんな深刻なもんでもないだろ」
 だよなー。で、結局どうすんだっけ?
「お任せで」
 うへー。
 
 
 
「そうだ、明日なに食いてぇ? サンマは確保済みだから、他になんかリクエストあるか?」
 キノコさえ入ってなきゃ、それだけでごちそうだからなぁ。
「なんだよ、真面目に考えろよ。まったく、うちのクルーは誰に何を聞いても似たような返事ばっかしやがって」
 あー、そりゃあしょうがねぇよ。
 毎回美味いもの出てくるし、結構いろんなレシピ試してるからメニューが多いというか。
 どれもインパクトあって定番になるのが難しいんだよ。
「……そうなのか?」
 だからみんな言うだろ? なに食っても美味いから何でもいいって。
「……そうか」
 だから、お前が食わせたいと思うもの、お前の自信作でいいんだよ。
「ふーん。そっか」
 そうだよ。よし、できた!
「おー、さっぱりした。サンキューな。明日の誕生日パーティー、楽しみにしてろよ? クソうめぇモン食わしちゃっからな」
 おう、楽しみにしてるぜ!
 
 
 
 以上、本日は閉店いたしました。
 またのお越しをお待ちしております! っと。
 
 
 
end