12.【R-18】connect(約6800字)

2015年04月07日 16:18
女神様の描かれた首輪につながれたゾサにクッソ萌えましてですね。
おねだりして元絵をpixiv版の表紙に頂いてしまいました。
久しぶりにえろ頑張ったら頭パーンしたよ!
 
 
 
 
 
 
 ガシャン、ジャリンと硬質な音がコンクリートの壁に反射し、それを縫うように短い息継ぎが耳をつく。
 マズいな、とゾロは重い頭を必死で持ち上げ、後方へ僅かに捻った。その動作だけでも酷く億劫で、力の入らない全身を忌々しく思う。
 視界の隅に、呻きを上げながら金を乱して頭を振る姿を掠めた。

「ウゥ…ぐ、ぁあ!」

 大きな唸りと共に、一層強い金属音が響く。
 首をぐるりと拘束する革の隙間に指を入れ、力加減など無視して闇雲に引きちぎろうとする。趣味の悪い赤い首輪は固く、本物の大型犬用だと思われた。サンジの動きは滅茶苦茶で、冷静さを欠いた様子が首輪から延びる鎖の音からも分かる。
 撓み、張り、軋む。
 その度に壁に繋がった鎖の先が、自由を奪われている今の状況をまざまざと突き付けてきた。
 ゾロは力を振り絞り、肘をついて上半身をゆっくりと持ち上げる。下半身に全く力が入らない。重い下肢を引摺るようにして、匍匐前進で暴れる男の元へ寄った。
 手を伸ばせば届きそうな距離まできたが、そこでグン、と動きを止められる。喉仏を押し込まれるような衝撃に、自分に繋がれた鎖もここまでの長さなのだと分かった。色はわからないが、首輪は同じ犬用だろう。

「おい」

 声をかけるが、こちらに気付く様子はない。舌打ちをし、ぐぐ、と上体を持ち上げる。正直喉は苦しいが、首輪に体重を乗せて体を起こすと、浮いた分だけ格段に近づいた。

「おい、やめろ」

 掠れた声はやはり届いていないらしく、光を失った青は虚空を見据えたままだ。
 そもそもこんな普通の首輪と鎖如きに拘束されてしまったのは、見知らぬ少女を人質に取られたサンジの失態ではあるが、そのこと自体を責めるつもりは毛頭なかった。途端に全てを投げ出して無抵抗になるそのやり方が気に入らないだけで。
 少女に銃を突きつけられながら、二人共に怪しげなモノを注射された。下卑た笑いをしながら男たちは、町のチンピラから巻き上げた中身のよくわからないドラッグだと言っていた。ミックスして面白い効果が見られたら売れるかもしれないと、くだらない会話の中二本目を注入されて意識が途絶えた。気がつけばこの状況で、何も隠し持てないようにと上半身を裸にされたらしい。
 ゾロは弛緩剤が混入されていたのか体に全く力が入らず、サンジの方は興奮剤なのかずっと錯乱した様子だった。唸り声を上げ暴れるその首筋には、薄暗い中でもじんわりと分かるくらいに血が滴り始めている。首を擦ったのか、指先を傷つけたのか。
 白い肌に伝う赤が、ゾロの胸をちくりと刺した。

「てめぇ、いい加減戻ってこい。これ以上手ェ痛めんな」

 首輪にかかっていたサンジの手を取り、冷たい床に押さえつけた。尚も正気を取り戻す様子はなく、もう片方でサンジに繋がる鎖を掴み、できるだけ暴れないようにと固定する。

「おれが分からねぇくらいぶっ飛んだか?」

 ギシ、ミシ、と鎖が限界まで軋む音。
 まるで手負いの獣のようなサンジに、根気強く話しかける。

「いいか、クスリが抜けちまえばこんな拘束はおれらには問題無ェんだ。あのガキはまだ捕まってる。助けるんだろ?」

 ガキ、という言葉に反応を見せ、少しずつサンジの動きが落ち着いてくる。
 懸念が具体的な言葉になって聴覚を、脳を刺激したようだ。

「ちゃんと出口はある」

 ゾロはちらりと後方上部に視線を流した。小さな監視窓から薄らと光が差し込んでくる。

「後で纏めて暴れろ。今は体力温存しとけ」

 徐々にサンジの目には光が戻り始め、半開きで唾液を流していた口がはくはくと何かを言いたげに動いていた。

「戻ってきたか。どうした」
「……キスしてぇ……」

 何を言い出すかと思えば。
 ゾロは喉の奥をクッと鳴らして笑った。

「これじゃ届かねぇな。後でいっぱい吸ってやる」

 あと一歩のところで触れ合いないもどかしさ。
 ゾロは鎖を離してサンジを解放すると、力尽きたようにその場に転がった。鎖が撓み重い音を立てて床に落ちる。
 サンジの方も大分興奮が収まってきたらしく、同様に冷たい床に座り込んだ。首輪にかかっていた指先を見て舌打ちをする。

「アイツら許さねぇ」

 いつもの様子に戻りつつあるサンジに、ゾロは内心安堵の息をついた。心まで壊れる前に、引き戻せたことにホッとする。
 一息つくと倦怠感は軽減し、下肢の感覚も少しずつ戻ってきている。案外薬が抜けるのが早そうだ。
 だが困ったことに、戻ってくる感覚と一緒に疼き出す下半身をどうしたものか。どうやらサンジもそれは同様のようで、強くはないが催淫剤も含まれていたらしい。微妙にモジモジと動き出すその様は目に毒だ。

「てめぇ煽んな」
「あぁ? 勝手に盛ってんじゃねぇよ」
「……ちくしょう、さっさとここ出て宿行くぞ」

 そうだ、元々宿に向かう途中でこんなことに巻き込まれたのだ。
 ゾロはむくりと起き上がると足の感覚を確かめながら立ち上がり、二度三度床を踏みしめた。また少々頭がくらりとするが、動けないほどではない。両手を見つめグーパーを繰り返して力の入り具合をみる。
 徐に自身の首輪に両手をかけ、左右に引きちぎった。

「うし」

 ガシャンと無残な姿の首輪を床に放り出し、サンジが血の滲む指先で首輪のベルトを外そうとしているのを見て、ゾロはその手を掴んで制止した。無言で首に負担がかからないように丁寧にベルトを外す。

「これ以上傷増やすな」
「なんだ、随分優しいんじゃね?」
「お前がおれの野望を認めているように、おれはお前の誇りを大事にしたいだけだ」
「……ホント、そういうことさらっと言っちゃうよな、お前って……」

 俯いて煙草を口にしようとして、二人とも上半身裸であることに気付く。

「あー! 煙草、ジャケットじゃねぇか。チクショウ」

 煙草で誤魔化そうとしていた熱くなった顔を、髪を振り乱すことで隠そうとしている姿にどうにも唆られる。丸い頭を鷲掴みにして上げさせ、文句を言うために突き出ていた下唇をじゅう、と強く吸った。
 甘い痛みにサンジの眉根が切なく歪む。おず、と顔を見せた舌先がゾロの上唇を左右に移動する。
 視線を合わせたまま、ずくりと重く熱を持った箇所をどちらともなく擦り付け、ハァ、と湿った吐息がサンジから漏れたのを合図に、二人はゆっくりと離れた。

「盛ってんじゃねぇっての。どうすんだよ、コレ」
「目標があったほうが早く片付くだろ。さて、おれも得物取り返さなきゃな」

 何が目標だと、にやりと笑う男に呆れながらも、欲情に火を着けたのは自身も同罪であったと溜息をつき、がしがしと金の髪を更に乱した。

「だったらオレが特攻な。行くぜ」

 サンジがゾロの肩に手をかけると、ゾロは両手を組んで踏み台を拵える。
 そこに足をかけ、持ち上げられる勢いのまま監視窓に手を伸ばした。



 今辛うじて意識を保っているのはゾロの方だった。
 喉の奥まで責め立てられ、青臭い匂いが鼻腔に蟠っている。ベッドサイドに力の入らない体を凭れさせ、頭を両手で固定されて、口の中にサンジのものを突っ込まれていた。
 獣のように呻きながら我を忘れて腰を振るその顔を、息苦しく思いながら上目で見遣る。
 あの忌々しい首輪の牢からは、驚くほど呆気なく出ることができた。混ぜ合わせたクスリ、屈辱を与えるためだけの鎖、動きを抑制するための人質、中からは届かないはずの監視窓。たったこれだけのもので二人を支配できたと思い込んでいたチンピラとも言えない連中は、安心しきって様子を伺うことも忘れていた。
 小さな監視窓が蹴破られ、音に驚いた連中が振り返った時にはサンジはすでに部屋の状態を把握しており、真っ先に部屋の隅で震えている少女を保護していた。ご丁寧に彼らの持ち物である刀やジャケットもすぐ傍に無造作に放られ、サンジはその中から赤い刀を迷わず掴んだ。

「お前なら主人のとこにすっ飛べるだろ?」

 鍔に小さくキスを落とし、襲いかかる雑魚を蹴り飛ばして道を作り、刀を小さな監視窓に向かって射るように投げた。刀は真っ直ぐ吸い込まれるように窓の中に消え、直後轟音と共に部屋が真っ二つに割ける。
 こうなることを予想していたサンジは少女を抱えて部屋の隅へ避難していて、事態を飲み込めない者たちだけが右往左往し、崩れた床からゾロの元へ無防備な姿を晒した。後は魔獣の怒りのまま、妖刀にその血を啜られることになる。二人と少女以外動く者の無くなったその場を後にし、途中見つけた怪しげな粉が詰まった倉庫に火を放ち、彼らは外へ出た。
 家人が探す近くまで少女を送り届け、途端に緊張の糸が切れかけた二人は互いの体を支え合うようにして裏路地の宿屋へ転がり込んだのである。
 あの建物を出る頃には、既に体の変調を感じていた。やはり短い時間ではクスリが抜けることはなく、動けるようになったのは一時的に薬効の波が収まっていたからに過ぎなかった。暴れ回ったことで急激にクスリは体内を冒し、とうに熱を持っていた芯は理性までも奪っていく。再び脱力感に襲われたゾロはベッドまで登りきることができずに倒れ込み、息をつく間も無くサンジに抑え込まれた。
 我を忘れたこの男が一番初めに果たそうする欲望が突っ込んで出すということに、普段は自分の下で快楽に喘ぎながらこの雄を隠し持っていたのかと複雑な気分になった。
 だが、はたと考える。ゾロに組み敷かれ啼き、尻を振って強請るまでになったサンジの雄を制しているのは、他でもない自分であるのだと。
 他所に気をやった瞬間、引き戻されるように喉奥を強く突かれた。深くにまで沈め、サンジが欲を吐き出す。頭を抑えられたまま逃げ場はなく、ゾロは流し込まれた精を受け止めた。
 すぐに乱暴に引き抜かれ、どろりと濃い粘度で咽頭に絡みつく。飲み込みきれなかったもので無様に咳き込んでいるところを抱え上げられ、ベッドの上に放られた。息苦しさの中、忙しなく下肢を暴いている様が視界に入りどきりとする。
 まだ体に力が入らず、興奮状態で通常よりも力が強くなっているサンジにされるがままだ。もしやこのまま後ろに突っ込むつもりなのかと肝を冷やすが、まだ充分に勃ち上がっていないゾロのものを口に含んで、追い立てるように扱きだす。乱暴な口淫に萎えかけていたそれは望みもしないクスリの作用によっていとも簡単に屹立し、熱い口内に嬲られてあっけなく達した。
 立て続けの行為に息が上がったままでいると、硬さを失っていないものを咥えて再びサンジが顔を上下に動かし始める。ゾロの吐き出した精は粗方飲み下したようだが、残滓を絞り出すように吸い上げられ思わず呻いてしまう。吐精直後で敏感になっているのだ。
 その声に気付いたのか、青い目がちろりと上目にゾロを見た。

「てっめ……正気戻ってやがんな!?」

 頭だけ、なんとか起こして金の塊を睨みつける。
 揺れる頭の、その向こうにチラチラと見え隠れする、蠢く手。熱い息を零しながら、サンジは自らの秘所に指を入れて解しにかかっていた。
 その、壮絶な光景。

「……くっそ……ったれが!」

 口いっぱいに頬張りながら、それを受け入れるための孔を、自分で拡げているのだ。体が自由に動けばすぐにでも押し倒して、そこに捩じ込んで高い声を上げさせてやるのにと、かつてないほど悔しい思いを募らせる。
 サンジは顔を上げ大きく溜息をひとつつくと、光を戻した瞳をとろんと蕩けさせて眉尻をへにゃりと下げ、先程までの凶暴な様が嘘のように情けない顔を晒した。

「……変、なんだよ…体、言うこときかね……後ろ、な、もしてね、のに…ぁ…こん、な……」

 指の動きに合わせるかのように、途切れ途切れの声が劣情を誘う。

「体…お、くの…震え……止まん、ねぇ……」

 自ら引き抜いた指に「アァッ!」と切ない声を上げ、勝手に勃ち上がる自身をぶるりと震わせる。
 ガチガチになって脈打つゾロの陰茎を、らしくなく熱い掌でまっすぐに支えると、そこに性急に腰を落とした。然程解していないはずの孔は驚くほどに柔らかく、潤いさえ伴ってゾロを飲み込んでいく。サンジ自身も辛さは全くないようで、掌よりも熱い肉でどんどんと誘い込んで、自重で再奥へと到達させた。
 ゾロの腹に手をつき、背を丸めるようにして快感を堪えるその様が艶かしくて、ずくんと腹に熱が籠もる。

「テメ……デカく、す、な……」
「てめぇこそ、早く動け。生殺しじゃねぇか」

 ギッ、と睨んだその瞳もドロドロに溶けていてはなんの凄みもなく、ただただゾロを煽るにすぎない。サンジはゆるゆると腰を動かし始め、引き抜く際の排泄感、押し込む際の強烈な圧迫感に全身を粟立たせ、短く声を上げながら次第にその動きを速めていった。
 なんとか首を上げたゾロの視界には、楔が出入りを繰り返す生々しい光景が広がる。
 先程一度吐き出していたせいか、全身を支配していた脱力感が軽減してきていることに気付いた。僅かずつ、体の感覚が戻ってくる。

「おい、後ろに手ェ着け」

 快楽の波に飲み込まれて虚ろな顔を晒しながら、言われるがままに上体を反らせて後ろ手に着く。それだけで肚の中の当たり処が刺激の強いものに変わり、ひく、と傷ついた白い喉を戦慄かせた。

「ぃああぁぁぁ!」

 まだ新しい快感に慣れぬうちに、抉るように突き上げられた。
 ゾロの腰が下からサンジを追い込んで行く。

「イケ、吐き出せ」

 ゾロがサンジの中へ早々に熱を送ると、慣れた刺激に高められた体は容易く達した。後ろに着いていた手が力を失ってシーツを滑り倒れていく体を、腹筋で起き上がったゾロが咄嗟に支える。

「ん、だいぶ動くようになってきたな。とにかく溜まったモン出すのが手取り早ェみてぇだ。おい、聞いてっか?」

 先程までの勢いが嘘のように脱力したサンジの頬をぺちぺちと刺激し、意識を向けさせる。焦点の合わない青は零れ落ちそうに潤んでいる。
 ゾロは一つ大きく溜息をつき、痛々しさの残る首回りの傷にゆっくり舌を這わせた。擦り切れて滲んだ血が固まった場所を、刮げ取るようにねっとりと舐めていく。時折吸い付き、傷の上に己の印を落とし、喉仏に軽く歯を立てた。
 空気の走る小さな音が聞こえ、胎内に入り込んだままのゾロをきつく締め上げる。反応の良さにゾロはニィッと口角を上げ、だらりと落ちたままの手を取って指先も口に含んだ。
 首よりも傷の深そうなそれを舌で一本一本舐る。乾きかけていた傷が溶け、鉄の味が広がっていく。

「余計な傷ばっか拵えやがって」
「……テメェだきゃ、言われたく、ね……」
「起きてたか。ま、落ちててもヤルけどな」
「酷ェ……」
「クスリ抜くにゃコレが手っ取り早ェからな。おれもまたいつ動けなくなるか分からん。それまではちゃんと、お前もヨくしてやるから」
「嘘クセェ顔……」
「いいから。存分にヨがってろ」

 繋がったままサンジの体をベッドに押し倒し、両足を鷲掴んでぐぐ、と体を折り曲げるように顔の両脇に押し付ける。自然高く上がる尻に、尚萎えることなく埋まったままの怒張が目の前で出入りする様は、サンジの熱を強く煽る。
 体勢の苦しさ、体を巡るクスリ、思わず自身に伸ばした掌の刺激、襞を目一杯広げて熱い杭を飲み込む己の肉。
 百舌鳥の速贄のようにこのままベッドへ串刺しにされるような気分で、自分の掌に熱をぶちまけ、意識も爆ぜた。



 目を覚ましたとき、ここがどこで今が何時なのか、さっぱり分からなかった。宿に転がり込んだのも、その時外が明るかったのか暗かったのか、そんなことさえ全く記憶にない。薄らとした意識の中で、ただただ互いに貪ったこと、自分が先に潰れてしまったことはなんとなく覚えていた。きっと宣言通り、人形のようにぐったりとした自分をずっと責め立てたであろう男は、後ろからしっかりと体を抱きかかえて身動きが取れない。
 ただ分かるのは、入ったままだということ。後ろに。胎内に。繋がったまま、だ。
 吐き出すだけ出して、きっとコイツも気を失ったんだろうと思う。体もベッドもドロドロだ。

「……ちんこ痛ェ……」

 くったりとした陰茎がヒリヒリと痛む。ゾロはきっと、気を失ったサンジをそれでも執拗に追い立てたのだろう。それこそ、出るものがなくなるまで。できるだけクスリを体内に残さないように。
 おかげさまで全く体は動かないが、妙な興奮や気持ちの悪さは綺麗さっぱり無くなっていた。
 背後の男は鼾も出ないほど深い眠りに落ちているようで、珍しく静かな寝息が頭頂部に当たってなんだかくすぐったい。なんとなく悪戯心が騒ぎ、萎えたまま入り込んでいるゾロのものをなけなしの力を入れて締め付けてやったら、中でぴくんと小さく跳ねて思わず声に出して笑ってしまったが、掠れて音にならなかった。
 どうせ暫く起き上がれないのだし、ゾロも起きる気配は全くない。もう少し眠るしかないと思うと自然と瞼が重くなってくる。
 傷ついた指先を大事に握り込んでいるゴツゴツとした手を眺めながら、サンジは眠りの淵に身を任せた。



end