8.【R-18】誰も知らない

2015年04月07日 14:21
息子のお尻のほくろ見たら衝動で書いてしまいました。うう。
 





 例えば、獣の姿勢で繋がっているとき。
 快感の波に飲み込まれ、強い力で腰を押さえ込まれ、穿たれている最中。
 がっしりと腰を掴んでいる両手の、右手の、親指が。そろりとそこを触れてくることに気付くことがある。
 けれどもすぐに意識が飛びそうな熱で掻き回されて、思考が灼き切れる。

 例えば、互いに銜え合っているとき。
 熱い舌は段々と後ろの孔に移動してきて、揉み解すように皺を広げ差し込まれ溶かされていく。
 そうしている間にも掌が尻の肉をやわやわとしだき、皮の厚い、親指の腹が。始めはくすぐったく掠めるような触れ方で、次第に意図を持って、何度も何度も触れてくる。
 内側への刺激に昂り、それを見て取っているのかと思うように、親指はそこを強く押すようになる。

 尾骶骨よりも、ほんの少し下、ほんの少し右側。
 ここに何があるのかさっぱりだけど、いつからかそこに明確な意図を持って触れてくるようになり、触れられた体は図らずも反応を見せるようになった。骨に近い、なんでもない部分が、知らずのうちに性感帯のように作り替えられている。
 そこが何か気にはなるが、自分の体を弄ぶこの男が好む何かなんだろうと思うと、じわりと熱が上がる。
 きっと、分からないままでいた方が気持ちいいのかも知れない。





*****





 白い体がのたうつ様が好きだと思う。
 触れて、高めていくと、皮膚がじわじわと色を変えていく過程も。
 締まった筋肉に掌が吸い付く感触が堪らない。
 汗に濡れた肌に口付けると、それまで見えなかったものが見えてくる。
 無数の、傷の痕。自分同様、戦いに身を投じるものの体。
 普段目立つものはないが、こうして昂り上気してくると、薄らと姿を現すのだ。
 それから、色素沈着程度のささやかな、ほくろ。数える程しかないそれらの中で、一カ所だけ、目を引くものがあった。
 高く上げさせた白い尻に、欲望のまま楔を打ち込み、声を堪える喉をこじ開けて啼かせ、自ら腰を振るようになるまで緩く揺すってやっている時に、それは突然目に入ってきた。
 尻の割れ目の、始めの方。腰を押さえ込んだまま尾骶骨を探るように親指を這わせ、そこから進路を僅か右に逸らせた辺り。
 小さな小さな、ささやかだけれど、他と比べて一段と色の濃い、ほくろ。色素の薄い肌の中で、蠢く尻の谷間に隠れるようにしていたそれを見つけると、なんだか目が離せなくなった。
 何度も体を繋げた自分が今まで気付けなかったほくろは、きっと誰にも知られなかったものなのではないか。女としていたって、こんなところ、見せる見られる機会なんてないだろう。
 もしかしたらこれは自分だけが知る、持ち主である本人さえも知り得ないものなのではないか。
 そう思うと愛しくて仕方がない。

 

 何度もそこに触れるうち、腕の中の体はぴくりと反応を示すようになった。その様に体の熱が上がる。
 ただのほくろが性感帯になるだなんて知らなかった。くすぐり、撫で、強く押すと締めつけてくる。堪らなくなって、声が枯れるまで喘がせたくなる。

 きっと誰も知らない、自分しか知らない、秘密のスイッチ。



end