17.ツンデレ

2015年04月07日 14:41
突発文。ちょっと初々しい。
 



 普段はこちらからのモーションには酷くつれないのに。それでも、キッチンに立つその後姿を抱き締める程度は、文句を言わずに許してくれるようになったな。
 そんなことで少しばかり満足していたら、お前のデレは突然やって来る。
 刀の手入れをして手が離せないような時に、突然背中を合わせ、体重をかけてくる。

 

 ぐいと押してくるから、ぐいと押し返す。そうしたらまた、ぐいと押してくる。
 そんなことを数回繰り返し、少しだけ、背中合わせで良かったとも思う。実はニヤけているだなんて、知られなくて済んだ。
 お前は今、どんな顔をしてこんなことをしている?

「なんだ、甘えたくなったか?」

 顔を覗き込もうとすると、ついと逸らして背から離れて行く。

「べっつにー」

 紫煙を燻らせながら、何でもないというように遠ざかって行くお前の首筋は、真っ赤に熟れてとても雄弁だ。



end