12.甘やかし
2015年04月07日 14:25
ついったに投下した突発短文。
すり、と金色の頭を寄せてくる。酒を飲んだわけでもないし、ましてや情を交わした後でもない、なんでもない時間。
どうした、と言葉をかけてもどうせ「なんでもない」としか返してこないのだろう。
だからそのヒヨコみたいな頭をぎゅっと抱きしめてやる。多少暴れるが、構うものか。
こうして髪に指を梳き入れ撫でるように掻き混ぜてやれば、不思議と大人しくなるのだ。
そうしているとおずおずと両手が腰に回ってきて、ぎゅうっと力任せに締め上げてくる。随分と遠慮がないのはきっと、おれだからだ。
それでいいと思う。
好きなように使えばいい。
どこにもぶつけようのない気持ちの吐き出しにしては、可愛いものだ。おれだけに見せているのだろうから、それでいい。
ぽんぽんと軽く頭を叩いてやれば、待っていたかのように呻きと啜り泣きが聴こえてくる。
今回はどれほど溜め込んでいるのだろうか。
このまま疲れて眠ってしまうのを、いつものようにゆっくりと金色を愛でながら待った。
end